ウィッグの髪は、どうやって植えられているのでしょう。
『世界で開け!ひみつのドアーズ』で訪ねたフィリピンの工場では、約1ミリの小さな穴に、職人さんが毛を一本一本結びつけていました。毛の向きや流れまで考えながら仕上げるから、完成したウィッグは自然な髪に見えるのだそうです。
あの手仕事は、ウィッグを選ぶときの言葉では「手植え」と呼ばれています。商品ページで見かける「総手植え」という言葉は、番組で見たあの作業のことだったんですね。
[本編リンク:番組で見た手仕事の様子はこちら → 『ひみつのドアーズ』フィリピン編

でも、実際に部分ウィッグを選ぼうとすると、植え方以外にも、素材や大きさ、色など、比べることがいろいろあります。初めてだと、どこから見ればいいのか迷ってしまうかもしれません。
この記事では、分け目や頭頂部のボリュームが気になってきた方に向けて、部分ウィッグの選び方を順番に整理します。見るポイントは、範囲(大きさ)、植え方、素材、色、留め方の5つです。
なぜ「手植え」は自然に見えるのか
ウィッグの毛の植え方には、大きく分けて「手植え」と「機械植え」があります。
機械植えは、決まった列に沿って毛を植えていく方法。早く作れて価格も抑えられますが、毛の流れがそろいすぎて、分け目が不自然に見えることがあります。
一方の手植えは、ネットや生地の小さな穴に、毛を一本ずつ結びつけていく方法です。毛の向きや流れを少しずつ変えながら植えられるので、分け目や頭頂部が地肌から自然に生えているように見えます。
商品の言葉では、全体を手植えしたものが「総手植え」、分け目など目立つ部分だけ手植えしたものが「手植え(一部)」などと書かれています。
もう一つ、分け目の見え方に関わるのが、土台(ベース)の作りです。
地肌のように見せる「人工皮膚(スキン)」タイプは、分け目の自然さが魅力。その分、通気性は控えめです。レースやメッシュのタイプは軽くて通気性がよく、暑い季節にも使いやすい作りです。
ただし、手植えなら何でも自然というわけではありません。毛量や色が自分の髪に合っていないと、せっかくの手植えでも浮いて見えます。植え方は、選び方の最初の一歩です。
最初にやるのは「測ること」
部分ウィッグ選びで最初にすることは、商品を見ることではなく、自分の気になる範囲を測ることです。
頭頂部は自分では見えにくい場所です。鏡を合わせるか、スマホで真上から写真を撮ると、分け目やつむじの状態が分かりやすくなります。
測るときのポイントは、この3つです。
- 気になる範囲を、縦と横の長さで測る(柔らかいメジャーが頭の丸みに沿います)
- ベースの大きさは、気になる範囲より一回り大きめが目安
- クリップは周りのしっかりした毛に留めるので、端の位置に余裕が要る
範囲ぴったりの大きさを選ぶと、境目がかえって目立つことがあります。「思ったより少し大きめ」くらいが、自然に隠せる選び方です。
ベースの大きさと毛量の考え方
部分ウィッグのベース(土台)の大きさは、商品によってさまざまです。
分け目だけをカバーしたいなら小さめのタイプ、つむじ周りや頭頂部の広い範囲が気になるなら、大きめのタイプが向いています。商品ページには「7×10cm」「8×12cm」のように土台の寸法が書かれていることが多いので、測った範囲と比べてみてください。
もう一つ大切なのが、毛量です。
毛量が多いほどボリュームが出ると思いがちですが、自分の毛の密度と差がありすぎると、乗せた部分だけ盛り上がって見えます。自然に見せるコツは「多め」ではなく「自分の毛に近い量」を選ぶことです。
素材の違い
素材は大きく3種類あります。どれが良いというより、使い方と手間のかけ方の違いです。
| 比べるところ | 人毛100% | 人毛ミックス | 人工毛 |
|---|---|---|---|
| 見た目・手触り | いちばん自然。自毛になじみやすい | 人工毛より自然に近い | 商品によっては光沢が目立つことも |
| 価格の目安(部分ウィッグ) | 1万円〜数万円 | 8,000円〜3万円前後 | 数千円〜1万円台 |
| カラー・パーマ | できる | 原則できない | できない |
| ドライヤー・アイロン | 使える | 製品による(低温までなど) | 耐熱タイプだけ使える |
| 洗ったあと | ドライヤーで乾かして整える | 自然乾燥でよい | 自然乾燥でよい |
| 手入れの手間 | 地毛と同じように手をかける | 中くらい | いちばん手軽 |
| 弱点 | 高めの価格。使っているうちに色あせや枝毛も | 人毛の部分は色あせすることがある | 摩擦や静電気で絡まりやすい |
| 向いている人 | 自分の髪のように扱いたい人、長く使いたい人 | 自然さと手軽さのバランスを取りたい人 | まず試してみたい人、たまの外出用にほしい人 |
迷ったら、毎日使うものほど素材の差が出ます。たまのお出かけ用なら人工毛から、お出かけのたびに使いたいならミックスや人毛から見ていくと、予算と使い方のつり合いが取りやすいです。
色合わせと、つむじ・分け目の見方
失敗がいちばん多いのは、大きさと色です。
色は、つける場所の周りの毛に合わせるのが基本です。毛先は日焼けやカラーで明るくなっていることが多いので、根元寄りの色を目安にすると、つけたときの境目が目立ちにくくなります。できれば明るい自然光の下で、自分の髪と見比べてください。
白髪が気になって使い始める方も多いと思います。全体を染めたような一色のタイプのほかに、白髪が自然に混じった「グレイヘア」タイプもあります。自分の白髪の割合に近いものを選ぶと、急に若作りにも老け見えにもならず、馴染みやすくなります。
つむじと分け目は、商品によって作りが違います。
分け目の位置が固定されているタイプと、分け目を変えられるタイプがあります。固定タイプを選ぶときは、自分のいつもの分け目と位置が合っているかを確認してください。ここがずれると、色が合っていても不自然に見えます。
留め方と、つけ方の基本
部分ウィッグの留め方は、クリップ式が中心です。小さなクリップが3〜4個ついていて、自分の毛にパチンと留めるタイプが多く出ています。
つける順番は、シンプルです。
- つける位置を決める
- 前側のクリップから、根元に近いしっかりした毛に留める
- 後ろ側のクリップを留める
- 周りの自分の毛を上からかぶせて、境目を馴染ませる
留める毛が細くて少ない場所だと、クリップが滑って安定しません。ズレが気になるときは、ベースの大きさや毛量が自分に合っているかを見直すのが先です。
長時間つけるときの補助として両面テープを使う方法もありますが、毎日テープで固定すると頭皮と自毛に負担がかかります。まずはクリップで安定するものを選ぶことが、長く使うコツです。
価格帯の考え方
ここまで見てきた5つのポイントが決まると、商品はかなり絞れます。
価格を見る前に、確認しておきたいのはこの3つです。
- 試着ができるか、合わなかったときに返品・交換ができるか
- ベースの大きさと植え方が、商品ページにきちんと書かれているか
- サイズと色の展開があるか(合わないときの選択肢があるか)
安いものが悪いわけではありません。使う頻度と素材のバランスで、納得できる一枚を選んでください。
通販が不安な人へ ― 試着という選択肢
初めての一枚を、通販の画面だけで決めるのは不安だと思います。
大手メーカーには、実際に試着できる仕組みがあります。フォンテーヌは店舗で予約なしの無料試着ができますし、レディースアートネイチャーはサロンや自宅などで無料のおためし体験を行っています。
「まず試着で大きさと色の感覚をつかんでから、通販で比べる」という進め方も、失敗を減らす一つの方法です。
お手入れは、素材で少し違う
買ったあとのお手入れは、素材で少し違います。
洗う頻度は、使う頻度と製品の表示に従うのが基本です。人毛は洗ったあとにドライヤーで乾かして整えると、地毛に近い仕上がりになります。人工毛とミックスは、自然乾燥が基本です。
保管は、ウィッグスタンドにかけておくと形が保ちやすくなります。お手入れ用品は専用のものが一式そろったセットも出ていますが、まずはシャンプーとブラシがあれば始められます。
よくある質問
Q. 部分ウィッグは、つけていることが分かりますか?
大きさ・毛量・色が自分の髪に合っていれば、分け目や頭頂部はかなり自然に見えます。分かってしまう原因の多くは、サイズが小さいことと、色の違いです。この記事の順番で選ぶことが、そのまま対策になります。
Q. 動いてもズレませんか?
クリップがしっかりした毛に留まっていれば、日常の動きではまずズレません。留める毛が少ない場合は、ベースの大きさの見直しや、補助のテープが選択肢になります。
Q. 毎日使えますか?
使えます。ただ、毎日使うなら素材の差が出やすいので、人毛やミックスのほうが手入れと見た目のバランスが取りやすいです。2つを交互に使うと、それぞれが長持ちします。
Q. 医療用ウィッグとは何が違いますか?
部分ウィッグは、分け目や頭頂部など気になる範囲を補うためのものです。医療用は、治療に伴う脱毛などに合わせて頭全体を覆うものが中心になります。ウィッグの購入費用への助成は自治体ごとに制度が違うので、お住まいの自治体で確認してみてください。
Q. 白髪が増えてきたら、買い替えるしかありませんか?
グレイヘアの割合が違うタイプに替えるのが一般的です。人毛タイプならカラーで調整できる場合もあります。
まとめ ― 選び方チェックリスト
部分ウィッグ選びの順番を、最後にもう一度まとめます。
- □ 気になる範囲を測ったか(縦×横)
- □ ベースは範囲より一回り大きめを選んだか
- □ 素材を決めたか(人毛/ミックス/人工毛)
- □ 色を、つける場所の周りの毛に合わせたか
- □ 試着や返品ができるかを確認したか

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