エジプトの小さな村で、今も名前が語り継がれている日本人がいました。
その人は、空手家の岡本秀樹さん。
2026年10月28日放送の『世界で開け!ひみつのドアーズ』で紹介された「オカモト先生」です。
日本から遠く離れたアイユーブ村で、子どもたちが空手を学んでいる。その背景には、一人の日本人が長い年月をかけて築いてきたものがありました。
ところが、岡本先生について調べてみると、空手の普及だけでは語れない、もう一つの人生が見えてきたのです。
中東の政府要人との交流、エジプトやイラクでの事業、そして激動の国際情勢。
あの穏やかな村で慕われていた「オカモト先生」に、こんな人生があったとは。
その生涯を描いた本が、小倉孝保さんの『ロレンスになれなかった男 空手でアラブを制した岡本秀樹の生涯』です。
『ひみつのドアーズ』で紹介されたオカモト先生
番組が訪ねたのは、エジプトのアイユーブ村。
村の空手教室では、子どもたちが日本語の掛け声とともに稽古に励んでいました。
そこで名前が挙がったのが、岡本秀樹さんです。
岡本さんは1970年、青年海外協力隊員としてシリアへ渡り、現地で空手を教え始めました。
番組で紹介された最初の教え子は、わずか3人。
そこから活動の場を広げ、中東やアフリカで空手の普及に尽力しました。
岡本さんが広めた空手に関わる人々は、200万人にのぼるともいわれています。
アイユーブ村で指導するムハンマドさんも、岡本先生から空手を学んだ一人。
日本人の先生から教わった空手が、今度は村の子どもたちに受け継がれているのです。
番組を見て、こんな日本人がいたのかと驚いた方もいるのではないでしょうか。
でも、岡本秀樹さんの人生をたどると、話は空手だけでは終わりません。
『ロレンスになれなかった男』はどんな本?
この本は、岡本秀樹さんの生涯を追ったノンフィクションです。
著者は、国際ジャーナリストの小倉孝保さん。
長年にわたって海外取材を重ね、中東情勢にも詳しいジャーナリストです。
本の基本情報はこちら。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 書名 | ロレンスになれなかった男 空手でアラブを制した岡本秀樹の生涯 |
| 著者 | 小倉孝保 |
| 出版社 | KADOKAWA |
| 発売日 | 2020年6月26日 |
| ページ数 | 288ページ |
| 紙版定価 | 2,420円(税込) |
| 電子書籍 | あり |
| ISBN | 9784041091609 |
出版社によると、構想には18年もの歳月がかけられたそうです。
一人の空手家の人生を描くために、18年。
それだけでも、この人物が簡単には語り尽くせない存在だったことがうかがえます。
なぜ『ロレンスになれなかった男』というタイトルなのか
ちょっと不思議な書名ですよね。
「ロレンス」とは、映画『アラビアのロレンス』で知られる人物、T・E・ロレンスのことです。
第一次世界大戦中、アラブの人々と行動をともにしたイギリス人として知られています。
岡本秀樹さんは、この映画に憧れて中東へ向かったといいます。
1970年、岡本さんが最初に渡ったのはシリアでした。
そこで始めた空手の指導が、やがて人生そのものを大きく変えていきます。
映画に憧れて異国へ渡った青年が、空手を通じて現地の人々と関わり、思いもよらない世界へ足を踏み入れていく。
それでも、書名は『ロレンスになれなかった男』。
なぜ「なれなかった」のでしょう。
この言葉が何を意味するのか。
それも、本を手に取って確かめてみたくなるところです。
空手家だった岡本さんが、中東の政財界へ?
出版社が公開している紹介文と目次を見ると、岡本さんの人生には、番組で紹介された姿とは違う一面があったことが分かります。
岡本さんは空手の指導を通じて、中東の政府要人たちとも交流を深めていきました。
そして、エジプトやイラクでビジネスにも挑戦します。
空手を教えることから始まった人間関係が、政治や経済の世界へと広がっていったのです。
しかし、その道は決して順調なものではありませんでした。
国際情勢の変化によって、事業計画が行き詰まることもあったと紹介されています。
ここで気になるのが、本の目次です。
目次に並ぶ、気になる言葉
本には、次のような章が設けられています。
- 「オカモト」が生まれた日
- 取材ビザを求めて
- 空手との出会い
- 中東の空手家
- 闇商売に堕ちる
- 最後の賭け
- 岡本が遺したもの
「中東の空手家」までは、番組で知った岡本先生の姿と重なります。
ところが、その先には「闇商売」「最後の賭け」という言葉が並んでいます。
いったい何があったのでしょう。
エジプトの村で慕われている先生と、こうした章のタイトルが、すぐには結びつきません。
でも、だからこそ気になります。
人から慕われることと、人生のすべてが順調であることは、同じではない。
岡本秀樹さんという人物を知るには、その両方に目を向ける必要がありそうです。
この本で知りたいのは、岡本先生の「光と影」
番組で紹介されたのは、岡本先生が残した空手のつながりでした。
日本人の先生から教わった人が、次の世代へ教えている。
それだけでも、長い年月をかけて築いた功績の大きさが伝わります。
一方、この本は、岡本さんの成功だけを描いたものではないようです。
出版社は、空手を広めた功績とともに、複雑な人間関係や事業の失敗などにも触れています。
人間の人生は、きれいな成功物語だけでは終わらないもの。
まして、言葉も文化も違う中東で、何十年にもわたって活動を続けるのは、並大抵のことではなかったでしょう。
番組で見た岡本先生の姿が心に残ったからこそ、その背景も知ってみたい。
そんな気持ちに応えてくれそうな一冊です。
『ロレンスになれなかった男』はどこで読める?
『ロレンスになれなかった男』には、紙の本と電子書籍があります。
ただし、2020年刊行のため、紙版は書店によって在庫状況が異なります。
新品が見つからない場合は、中古本を探す方法もあります。
一方、電子版は楽天Koboなどで商品ページが確認できます。
紙の本を手元に置いて読みたい方、電子書籍で読みたい方、それぞれの方法で探してみてください。
『ロレンスになれなかった男 空手でアラブを制した岡本秀樹の生涯』
小倉孝保 著/KADOKAWA
購入前に少し内容を確かめたい方には、出版社の試し読みもおすすめです。
映画『アラビアのロレンス』も気になる
岡本秀樹さんが憧れたという映画『アラビアのロレンス』。
1962年公開の作品で、デヴィッド・リーン監督による歴史映画です。
広大な砂漠を舞台に、T・E・ロレンスの活動を描いています。
岡本さんがこの映画のどこに心を動かされ、中東へ向かうことになったのか。
映画を知ってから本を読むと、また違った興味が生まれるかもしれません。
ただし、映画はあくまで岡本さんが憧れた作品。
『ロレンスになれなかった男』の内容を理解するために、必ず見なければならないわけではありません。
まずは岡本さんの本から。
そのあとで映画を見てみるのも面白そうです。
番組で知った「オカモト先生」の、その先へ
『ひみつのドアーズ』で紹介されたアイユーブ村の空手教室。
そこで子どもたちに受け継がれていたのは、日本人の岡本秀樹さんが伝えた空手でした。
遠い国で、今も名前が語り継がれている日本人がいる。
それだけでも驚きでしたが、その人物の生涯を描いた本があると知って、さらに興味が湧いてきました。
空手を広めた功績だけでなく、中東で築いた人間関係、事業への挑戦、そして時代に翻弄された人生。
番組では見えなかった岡本秀樹さんの姿を、もう少し知ってみたい方へ。
『ロレンスになれなかった男』は、そんな好奇心の続きを探せる一冊です。
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