『ひみつのドアーズ』エジプト・アイユーブ村|日本のお米と空手がつないだ意外な縁

世界で開け!ひみつのドアーズ テレビ・エンタメ

エジプトの小さな村で、日本人が感謝されている?

エジプトといえばピラミッドやスフィンクス。ところが、今回の『世界で開け!ひみつのドアーズ』が訪ねたのは、緑豊かな畑が広がるアイユーブ村でした。

人口およそ8,000人のこの村には、思いがけない日本とのつながりがありました。

一つは、毎日の食卓に使われているお米。

もう一つは、子どもたちに受け継がれている空手です。

そして調べてみると、その背景には100年以上にわたるお米の歴史と、一人の日本人空手家の波瀾万丈な人生がありました。

2026年10月28日放送の『ひみつのドアーズ』「エジプトで見つけた意外なニッポン」。

番組で紹介された料理や村の暮らしを振り返りながら、もう少し深くエジプトをのぞいてみます。

『世界で開け!ひみつのドアーズ』放送内容一覧

アイユーブ村はどこ? 砂漠の国に広がる農業の村

エジプトというと、砂漠の印象が強いですよね。

ところが、アイユーブ村には畑が広がっています。

村の近くを流れるのは、ナイル川につながるイスマイリヤ運河。

水を利用した農業が行われ、イチゴやキャベツ、小麦などが育てられています。

エジプトは、国土の大部分が乾燥した地域です。それだけに、ナイル川とその周辺の水路は、人々の暮らしを支える大切な存在。

古代エジプト文明がナイル川とともに発展したことを思うと、今も水と農業が暮らしの中心にあるというのは興味深いですね。

そんなアイユーブ村には、日本ではあまり見かけない建物がありました。

高さ10メートルのハトの塔! エジプトではハトがごちそう

村人たちの自慢として紹介されたのが「ボルグ・ハマーム」。

高さ約10メートル、壁にたくさんの穴が開いた不思議な塔です。

実はこれ、ハトを飼育するための建物。

日本ではハトといえば公園で見かける鳥ですが、エジプトでは昔から食用としても親しまれてきました。

そして、村の自慢にはハト料理も登場します。

ハマーム・マフシーは、お米を詰めたハト料理

「ハマーム・マフシー」は、ハトのお腹にお米などを詰めて調理する料理です。

「マフシー」は、アラビア語で「詰め物をした」という意味。

エジプトでは肉だけでなく、野菜にお米などを詰める料理もよく食べられています。

番組では、スタジオにもハマーム・マフシーが登場。

相葉雅紀さんからは「めちゃくちゃうまい!」という感想が聞かれました。

ハト料理と聞くと、どんな味なのか想像がつきません。

でも、相葉くんがおいしそうに食べていると、ちょっと気になってきますね。

そして、この料理にはもう一つ、意外な秘密がありました。

ハトのお腹に詰められている、お米です。

小麦文化のエジプトに、なぜ日本のお米が?

エジプトでは、古くから小麦が人々の食生活を支えてきました。

その代表が「アエーシ」と呼ばれるパンです。

丸く平たい形をしたパンで、料理と一緒に食べたり、中に具を挟んだりして楽しみます。

「アエーシ」という言葉は、エジプトの口語アラビア語で「生活」や「生きること」にも通じます。

それほどパンが暮らしに欠かせない存在なんですね。

そんな小麦文化の国で、日本のお米が広く食べられているというのです。

しかも、エジプトで栽培されているお米の多くは、日本と同じジャポニカ系。

いったい、どうしてなのでしょう?

約100年前、エジプトが選んだのは日本由来のお米

1917年、エジプトでは人口増加を見越して、お米の生産を拡大する取り組みが始まりました。

世界各地から集められた品種は、約250種類。

その中から、エジプトの気候に適し、生産性も高いとして選ばれたのが、日本由来のジャポニカ米でした。

その名も「ヤバニ米」。

「ヤバニ」は、アラビア語で「日本の」という意味です。

その後も品種改良が続けられ、日本の技術協力もエジプトのお米づくりを支えてきました。

在エジプト日本国大使館の資料によると、エジプトで親しまれている短粒種のお米は、日本由来のヤバニ米をもとに改良されたものなのだそうです。

さらにJICAの紹介では、エジプトで生産されるお米の約8割が、日本と同じジャポニカ米とされています。

日本から遠く離れた国で、日本由来のお米がこれほど身近な存在になっていたとは。

お米の歴史をたどるだけでも、知らなかった日本とエジプトの関係が見えてきます。

キャベツでお米を包む「マフシー・クロンブ」

番組に登場した「マフシー・クロンブ」も、お米を使ったエジプト料理です。

キャベツの葉でお米などを包み、煮込んで作ります。

見た目は、日本のロールキャベツに少し似ていますね。

ただし、日本のロールキャベツはひき肉が中心なのに対し、マフシー・クロンブでは、お米に香草や調味料を合わせた具がよく使われます。

小さく包んだキャベツを鍋に並べて煮込む、家庭でも親しまれている料理です。

キャベツとお米。

日本でもおなじみの食材なのに、組み合わせ方が変わるだけで、すっかりエジプトの味になるんですね。

コシャリは、ご飯とパスタと豆が一皿に!

エジプト料理でもう一つ気になったのが「コシャリ」。

お米にマカロニ、レンズ豆、ひよこ豆。

そこにトマトソースや揚げ玉ねぎを合わせた、エジプトの国民食ともいわれる料理です。

ご飯とパスタが同じお皿に?

日本では、ちょっと珍しい組み合わせですよね。

しかも、そこに豆まで加わります。

ニンニクや酢を使ったソース、辛いソースなどを加えて、好みの味に仕上げる食べ方もあります。

一皿にいろいろな食材が入っているのに、きちんと一つの料理として親しまれているところが面白い!

コシャリは日本でも作れる?

コシャリの材料を見てみると、意外にも日本で手に入るものが多いんです。

お米、パスタ、トマトソース、玉ねぎ。

少し探したいのは、レンズ豆やひよこ豆でしょうか。

どちらも乾燥豆や水煮の商品が販売されています。

本場の味をそのまま再現するには調味料や作り方にも工夫が必要ですが、材料を知ると、ちょっと作ってみたくなりますね。

エジプト料理というと遠い国の特別な食べ物に感じますが、コシャリは意外と身近な食材から始められそうです。

エジプトの村で語り継がれる「オカモト先生」とは?

アイユーブ村で見つかった日本とのつながりは、食べ物だけではありませんでした。

村には、日本語の掛け声が響く空手教室があったのです。

そこで語られていたのが、「オカモト先生」という日本人の存在。

その人物は、空手家の岡本秀樹さんです。

現地では「アフマド・オカモト」の名でも知られていました。

1970年、シリアへ渡った一人の日本人

岡本秀樹さんが青年海外協力隊としてシリアに渡ったのは、1970年のこと。

映画『アラビアのロレンス』に憧れて中東へ向かった岡本さんは、現地で空手を教え始めました。

その後、エジプトなど中東・アフリカの各地で空手の普及に尽力します。

番組では、最初の教え子はわずか3人だったと紹介されました。

そこから始まった活動は、長い年月をかけて大きく広がっていきます。

岡本さんが広めた空手に関わる人々は、200万人にのぼるともいわれています。

3人から200万人へ。

数字だけでも驚きますが、もっと気になるのは、その間に岡本さんがどんな人生を送ったのかということです。

岡本先生が伝えた空手の精神

アイユーブ村で子どもたちに空手を教えているムハンマドさんも、岡本先生から指導を受けた一人です。

日本人の先生に学んだ人が、今度は村の子どもたちに空手を教えている。

受け継がれているのは、突きや蹴りといった技だけではありません。

空手には、相手を尊重することや、自分自身を律することなど、技術だけでは測れない学びがあります。

日本でよく耳にする「礼に始まり、礼に終わる」という考え方。

それが海を越えて、エジプトの子どもたちの学びにもつながっていると思うと、胸が温かくなります。

ゲストのサヘル・ローズさんのお母さんも、岡本先生の名前を知っていたそうです。

日本ではあまり知られていなくても、遠い国で多くの人に影響を与えた日本人がいたんですね。

岡本秀樹さんの人生は、空手だけでは語れなかった

番組を見て、岡本先生のことをもっと知りたくなった方もいるのではないでしょうか。

実は、岡本秀樹さんの生涯を描いた本があります。

小倉孝保さんのノンフィクション、

**『ロレンスになれなかった男 空手でアラブを制した岡本秀樹の生涯』**です。

この本で描かれている岡本さんは、単に空手を広めた立派な先生というだけの人物ではありません。

中東で政府要人との人脈を築き、ビジネスにも挑戦。国際情勢に翻弄されながら、波瀾万丈の人生を送りました。

番組で見た、村の子どもたちに受け継がれる空手。

その背景には、私たちが想像する以上に複雑な人生があったようです。

なぜ岡本さんは中東へ向かったのか。そして、なぜこれほど多くの人々に空手を広めることができたのか。

番組で興味を持った方には、ぜひ手に取ってみてほしい一冊です。

『ロレンスになれなかった男 空手でアラブを制した岡本秀樹の生涯』

著者:小倉孝保
出版社:KADOKAWA
発売日:2020年6月26日
ISBN:9784041091609

出版社の紹介ページでは、本の内容や試し読みも確認できます。

出版社公式サイトで本の内容・試し読みを見る

『ロレンスになれなかった男』岡本秀樹先生の生涯|エジプトで慕われた空手家の本
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ヒジャブの下にも、おしゃれを楽しむ気持ち

アイユーブ村では、女性たちの暮らしも紹介されました。

エジプトではイスラム教を信仰する人が多く、村でもヒジャブを身につける女性たちの姿が見られます。

ヒジャブは、髪などを覆うために使われる布のこと。

日本とは違う服装や習慣に、最初は目が向きます。

ところが、番組スタッフのスキンケア用品に興味を示す若い女性たちの姿も印象的でした。

文化や服装が違っても、おしゃれを楽しみたいという気持ちは同じ。

遠い国の暮らしが、少し身近に感じられる場面でした。

ザガーリートは、喜びを声で表す文化

エジプトの文化として知っておきたいのが「ザガーリート」です。

結婚式などのお祝いの場で、女性たちが高い声を響かせて喜びを表す習慣です。

舌を細かく動かして出す、震えるような独特の声。

アラブ地域のさまざまな国で見られ、祝福や喜びを周囲と分かち合うために使われます。

日本なら拍手や万歳で表すような気持ちを、こんなふうに声で伝えることもあるんですね。

村の人が見せたかった、黄金色の小麦畑

番組の終盤、取材最終日には、農家のサイードさんが案内する黄金色の小麦畑が登場しました。

アイユーブ村では、農業が人々の暮らしを支えています。

日々育てている作物が実り、畑一面が黄金色になる。

観光名所ではなく、こうした日常の風景が村の自慢になっていることも、印象に残りました。

エジプトを旅するなら、食文化も楽しんでみたい

今回の放送を見て、エジプトの印象が少し変わりました。

ピラミッドやスフィンクスだけではなく、街には人々の暮らしがあり、昔から親しまれてきた料理があります。

アエーシやコシャリ、マフシー。

名前を知っただけでも、エジプトの食堂や市場をのぞいてみたくなります。

もしエジプトを旅行するなら、遺跡巡りだけでなく、現地の食文化を楽しめる時間も作りたいところ。

カイロの街歩きや市場散策、エジプト料理を味わう体験などを旅程に組み込むのも面白そうです。

初めて訪れる場合は、主要な観光地を巡るツアーを利用する方法もあります。

旅の内容を比べるときは、観光地だけでなく、自由時間や食事の内容も確認しておくと、自分に合った旅行を選びやすくなりますね。

遠い国に残っていた、日本とのつながり

今回の『ひみつのドアーズ』で見つかった日本は、観光名所でも、日本企業の看板でもありませんでした。

一つは、毎日の食卓を支えるお米。

もう一つは、子どもたちが学ぶ空手の精神。

日本由来のお米は、エジプトの料理に欠かせない食材となり、岡本秀樹先生が伝えた空手は、教え子から次の世代へと受け継がれています。

日本から遠く離れた小さな村で、こんなにも日本が身近な存在になっていたとは。

そして、番組をきっかけに調べてみると、お米にも空手にも、長い歴史があることが分かりました。

テレビで知った一つの話から、また別の世界が広がっていく。

『ひみつのドアーズ』の面白さは、そんなところにもあるのかもしれません。


『世界で開け!ひみつのドアーズ』

2026年10月28日(水)放送
11月3日(火)午後11:50から再放送があります。
NHK総合「エジプトで見つけた意外なニッポン」

出演:相葉雅紀、井桁弘恵
ゲスト:サヘル・ローズ
語り:木村昴

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