葉山には、美術館や文化施設が点在しています。
その中でも、少し趣が違うのが山口蓬春記念館。
ここは作品を展示するために建てられた美術館ではなく、日本画家・山口蓬春が実際に暮らし、作品を生み出していた旧宅です。
作品を見るだけでなく、画室を見たり、庭を歩いたり。
「この場所で暮らしながら、絵を描いていたんだな」と、画家の時間そのものを感じられるのが、この記念館の魅力です。
山口蓬春ってどんな画家?
山口蓬春は1893年生まれの日本画家。
東京美術学校、現在の東京藝術大学で日本画を学びました。
古典に学びながら、西洋絵画の技法も取り入れ、それまでの日本画にとらわれない表現を追求。独自の「新日本画」の世界を築いていきました。
日展を中心に活躍し、1965年には文化勲章を受章。
皇居新宮殿の杉戸絵《楓》なども手がけています。
1971年、山口蓬春は長く暮らした葉山で77年の生涯を閉じました。
山口蓬春が23年間暮らした葉山の家
山口蓬春がこの家を購入したのは1948年。
亡くなる1971年まで、約23年間をここで過ごしました。
現在の記念館では、蓬春の本画をはじめ、素描や模写、長年にわたって収集した美術品などを見ることができます。
でも、ここでぜひ作品と一緒に見ておきたいのが建物そのものです。
現在も残る旧宅には、山口蓬春が暮らしていた時間の面影が残されています。
吉田五十八が手がけた画室
旧宅の増改築を手がけたのが、建築家の**吉田五十八(よしだ・いそや)**です。
蓬春とは東京美術学校の同窓で、長年親交のあった人物でした。
1953年には、吉田五十八の設計によって画室が増築されています。
ここは、蓬春が実際に作品を生み出していた場所。
大きな作品にも向き合える空間がつくられ、庭に面した側には、床を一段下げたヴェランダや大きな引込み障子など、吉田五十八らしい工夫を見ることができます。
障子を開ければ、室内と庭がひと続きになったような空間に。
「アトリエを見る」というよりも、蓬春がどんな環境で作品と向き合っていたのかを感じながら見てみたい場所です。
旧山口蓬春邸の主屋と画室は、2023年に国の登録有形文化財に登録されています。
日本画だけでなく、近代和風建築に興味がある方にも楽しめそうです。
作品につながる庭を歩いてみる
そして、もうひとつ見逃したくないのが庭。
庭は1960年に岩城造園によって整えられ、その後も春子夫人によって大切に手入れされてきました。
蓬春自身もさまざまな草花を植え、庭の植物が作品のモチーフになることもありました。
美術館で花を描いた作品を見るのと、その画家が実際に眺めていた庭を歩くのとでは、きっと感じ方も少し変わります。
季節によって庭の表情が変わるのも楽しみのひとつ。
一度訪れたら終わりではなく、違う季節にも訪れてみたくなる場所です。
訪れる時期によって出会える作品も変わります
山口蓬春記念館では、所蔵作品を中心に企画展や特別展が開催されています。
展示替えがあるため、訪れる時期によって出会える作品が変わるのも楽しみです。
2026年8月現在は、夏季企画展**「蓬春に“涼”を求めて―静謐なる色彩―」**を開催中。
会期は9月13日までで、現在は後期展示となっています。
秋には、開館35周年を記念した特別展も予定されています。
訪れる前に、公式サイトで現在の展覧会を確認しておくのがおすすめです。
山口蓬春記念館 基本情報
山口蓬春記念館
所在地:神奈川県三浦郡葉山町一色2320
開館時間
10:00~16:30
(入館は16:00まで)
入館料
一般 600円
高校生以下 無料
休館日
毎週月曜日
※祝・休日の場合は開館し、翌日休館
※展示替え、館内整備、年末年始などの休館があります。
記念館専用の駐車場はありません。車の場合は周辺の有料駐車場などを利用します。
山口蓬春記念館 公式サイト
https://hoshun.jp/▶︎じゃらんで見る
いつつはマップ
📍いつつはマップ(Safariバージュン)
葉山で、日本画家の暮らした時間にふれる
作品を鑑賞する。
画室を見る。
庭を歩いて、季節の草花を眺める。
山口蓬春記念館では、それぞれが別々ではなく、ひとつにつながっているように感じられます。
画家が暮らした家だからこそ、作品だけを見ていたときには気づかなかったことが見えてくるかもしれません。
海辺を楽しむ葉山とは、また少し違った葉山時間。
静かに美術や建築にふれながら過ごしたい日に、訪れてみたい場所です。

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