ごま和えに、ごま豆腐、ごま油。
日本の食卓では、すっかりおなじみの「ごま」。
でも、そのごまがどこで作られているのか、考えたことはありますか?
実は、日本で使われるごまの約99%が輸入品なんですって!
2026年7月22日放送のNHK『世界で開け!ひみつのドアーズ』では、南米パラグアイのごま生産者を訪ねました。
そこで見えてきたのは、想像以上に大変な収穫作業と、日本人移住者がつないできた歴史。
いつも何気なく振りかけている、あの小さなごま。
まさか、こんな物語があったなんて!
ごま一粒は約2ミリ。収穫はすべて手作業!
今回の舞台は、南米パラグアイのサンペドロ県。
ごま栽培歴30年のネストルさんを訪ねました。
ネストルさんの畑では、年間約1トンのごまを収穫し、その約9割を日本向けに出荷しているそうです。
日本の食卓と、こんな遠いところでつながっていたのですね。
栽培されているのは主に白ごま。
赤土の畑で、農薬を使わず大切に育てています。
そして驚いたのが、収穫の方法です。
ごまは機械で一気に収穫するのかと思いきや、ネストルさんの畑ではすべて手作業。
なぜ、そんなに手間をかけるのでしょう?
それは、ごまの粒を傷つけないため。
機械で収穫すると粒に傷がつき、含まれる油の酸化が進みやすくなるそうです。
わずか2ミリほどの小さな粒の品質を守るために、一本一本刈り取っていくのです。
しかも、収穫したら終わりではありません。
刈り取ったごまを天日で半月ほど乾燥させ、さやが開いたところで、束を棒でたたいて粒を落とします。
あんなに小さなごまを集めるのに、どれだけの手間がかかっているのでしょう。
ごま和えを作るとき、つい景気よく振りかけてしまいますが……。
これからは、一粒だって無駄にしたくなくなりますね。
ごまが、農家の暮らしを変えた
実は、パラグアイのこの地域でごま栽培が広まったのは、比較的最近のこと。
以前は、綿花の栽培が盛んでした。
ところが1990年代、世界的な生産拡大によって綿花の価格が下落。
小規模農家の暮らしは厳しくなり、農薬代などの借金に苦しむ人も増えていきました。
そんなとき、新しい作物として注目されたのが「ごま」だったのです。
でも、当時の農家にとっては、ほとんどなじみのない作物。
本当に売れるのか。
家族を養えるほどの収入になるのか。
不安があるのも当然ですよね。
そのごま栽培を広めるために力を尽くしたのが、一人の日本人移住者でした。
北海道から渡った白沢寿一さん。ごまがつないだ日本との縁
白沢寿一さん。
北海道からパラグアイへ渡り、現地の農家にごま栽培を広めた人物です。
ごまは、小規模農家でも取り組みやすく、綿花より短い期間で収穫できる作物でした。
機械化が進む大規模農業とは違い、手作業による丁寧な栽培が強みになる。
そこに可能性があったのですね。
とはいえ、初めての作物を育てるのは簡単なことではありません。
白沢さんは何度も現地に足を運び、栽培方法を指導したそうです。
番組で紹介されたマルシアーノさんは、白沢さんから受け取った種を植え、最初の年に800キロものごまを収穫。
そして、綿花栽培で抱えた借金を返済できたといいます。
これは大きな出来事だったでしょうね。
ネストルさんも、ごまを育てることで収入が以前の倍以上になったそうです。
遠い日本からやってきた人が伝えた一つの作物が、現地の農家の暮らしを支えるようになった。
なんだか、ごまを見る目が変わってきませんか?
ちなみに、2026年は日本人のパラグアイ移住が始まって90周年。
日本人の集団移住が始まったのは1936年で、ごま栽培が広まったのはそれよりずっと後のことです。
長い交流の歴史の中で生まれた、ごまを通じた新しいつながり。
日本とパラグアイの関係を知るうえでも、興味深いお話でした。
ところが今、ごま農家が再び厳しい状況に
ごま栽培によって暮らしが豊かになった農家の皆さん。
ところが、今は新たな問題に直面しています。
世界的にごまの需要が高まり、周辺国やアフリカでも生産が増加。
その結果、2026年は価格が大きく下がり、パラグアイの農家にとって厳しい状況になっているそうです。
せっかく丁寧に作っても、価格が下がってしまう。
作る側にとっては、なんとも悩ましい問題ですよね。
ネストルさんたちは、ごま以外の作物も育てながら、苦しい時期を乗り越えようとしています。
私たちがスーパーで商品を選ぶとき、つい値段ばかり見てしまうことがあります。
でも、その向こうには、天候を気にしながら畑を守り、一粒一粒の品質を大切にしている人たちがいる。
安く買えることだけが、よいこととは限らないのかもしれません。
日本からの「ありがとう」。そして、ごま豆腐!
今回の旅の目的は、パラグアイのごま生産者に感謝を届けること。
日本から集めた「ありがとう」のメッセージ映像が、生産者の皆さんに届けられました。
さらに、プレゼントされたのは「ごま豆腐」。
ごまを育てている人たちが、日本でのごまの食べ方に出会うというのも、面白いですね。
日本では当たり前のように食べているごま豆腐も、パラグアイの生産者の皆さんにとっては、知らなかった料理。
自分たちが育てたごまが、遠く離れた日本でこんなふうに食べられている。
作る人と食べる人が、お互いのことを知る機会になったのですね。
パラグアイでは、ごまをミルクティーにも!
もう一つ、気になったのがパラグアイでのごまの食べ方。
番組では、炒ったごまを加えた「コシード・ケマド」という飲み物が紹介されました。
マテ茶を使ったミルクティーのような飲み物です。
ごまを飲み物に入れるなんて、ちょっと意外!
日本では、ごま和えやごま豆腐、ごま油などが身近ですが、国が変われば楽しみ方も変わるのですね。
ごまの香ばしさが加わったミルクティー、どんな味なのでしょう。
ちょっと飲んでみたくなりました。
いつものごまが、ちょっと特別に見えてくる
小さなごま一粒。
そこには、農家の人たちの手間と工夫、暮らしを変えた歴史、そして日本とのつながりがありました。
ごまを育てる人がいて、運ぶ人がいて、私たちの食卓に届く。
毎日当たり前のように使っている食材にも、知らない物語があるのですね。
そういえば、11月8日放送の『相葉マナブ』でも、ごまがテーマになっています。
『ひみつのドアーズ』で生産者の仕事を知ってから、ごま料理を見ると、また違った楽しみ方ができそうです。
今度ごまを使うときは、パラグアイの赤土の畑と、丁寧に収穫する農家の皆さんを思い出すかもしれません。
いつものごま和えが、少しだけ特別な一皿になりそうですね。
番組情報
- 番組名:NHK『世界で開け!ひみつのドアーズ』
- 放送日:2026年7月22日(水)
- テーマ:パラグアイ・ゴマ生産者に“ありがとう”
- 司会:相葉雅紀
- 出演:井桁弘恵
- ゲスト:YOU

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