富士山の登山ルートは4つ|吉田・須走・御殿場・富士宮、どこがどう違う?

おでかけ

富士山に登る。

そう聞くと、「あの山頂を目指して、みんな同じ道を登っていく」と思ってしまいませんか?

実は、富士山の山頂へ向かう代表的な登山道は4つあります。

吉田ルート・須走ルート・御殿場ルート・富士宮ルート。

スタート地点も違えば、距離も違う。

森の中を歩くルートもあれば、延々と火山砂利の上を歩くルートもあります。

「富士山に登る」とひと言でいっても、選ぶルートによってずいぶん違う登山になりそうです。

※2026年の山頂までの登山シーズンは終了しています。開山期間外は山頂へ向かう登山道は通行止めです。次シーズンの規制・予約・開山日は必ず最新の公式情報をご確認ください。 富士登山

富士登山オフィシャルサイト

まず知っておきたい「4つの色」

富士山の登山道には、それぞれ色が決められています。

黄色=吉田ルート
赤色=須走ルート
緑色=御殿場ルート
青色=富士宮ルート

これは単なるイメージカラーではありません。

現地の標識にも使われていて、違うルートへ入ってしまわないための大切な目印です。 富士登山

特に吉田ルートと須走ルートは山頂近くで合流するため、下山時の分岐には注意が必要です。

「私は黄色」

「私は赤」

と覚えておくのは、実際の安全にもつながるんですね。

黄色の吉田ルート|いちばん知られている富士登山

山梨県側の吉田ルートは、富士スバルライン五合目からスタートします。

登山口の標高は約2,305m。

山頂までの登りは約6.8km、目安は約6時間です。 富士登山

富士登山オフィシャルサイトでも「富士登山で最も人気のある登山道」と紹介されていて、4ルートの中で山小屋が最も多いのも特徴です。 富士登山

初めて富士登山について調べると、このルートをよく目にするのも納得です。

ただし、人が多い=簡単という意味ではありません。

例年7月下旬から8月下旬は登山者が多く、特に週末や祝日は混雑します。 富士登山

さらに下山時には須走ルートとの分岐があります。

疲れている帰り道に「みんなについて行けば大丈夫」は危険。

黄色の標識を確認しながら帰るところまでが吉田ルートです。

こんな人に向いていそう

初めて富士登山を計画する人、山小屋を利用して1泊2日で余裕をもって登りたい人、交通アクセスや山小屋の選択肢を重視したい人。

ただし「初心者向き=簡単な山」という意味ではありません。標高3,776mまで登ることに変わりはありません。

赤色の須走ルート|富士山なのに森から始まる

静岡県側の須走ルートは、須走口五合目からスタート。

標高約2,000mから、登り約6.9km、目安は約7時間です。 富士登山

おもしろいのは、4ルートの中で唯一、登り始めからしばらく樹林帯を歩くこと。

「富士山=木のない岩と砂の山」

というイメージとは、ちょっと違います。

七合目付近までは比較的緩やかな樹林帯。その後、富士山らしい岩場へと景色が変化していきます。 富士登山

そして本八合目から上は吉田ルートと合流します。

つまり帰りも途中までは同じ。

そこで間違えて黄色の吉田ルートへ下りてしまうと、須走口ではなく山梨県側へ行ってしまいます。 富士登山

須走は赤。

ここは覚えておきたいですね。

こんな人に向いていそう

森歩きも楽しみたい人、景色の変化を楽しみながら登りたい人、吉田ルートより少し登山者の少ないルートを歩いてみたい人。

緑色の御殿場ルート|とにかく長い!

数字を見て驚くのが御殿場ルートです。

御殿場口新五合目の標高は約1,440m。

ほかの3ルートより、スタート地点が約1,000m低いのです。

そして山頂まで、

登り約10.5km、目安約9時間。

4ルートで最長です。 富士登山

「同じ富士山なのに、こんなに違うの?」

と思ってしまいます。

七合目付近までは比較的緩やかな火山砂利の道が長く続きます。

そのぶん登山者が比較的少なく、雄大な富士山そのものを感じられるルートですが、距離が長く体力も必要。

そして御殿場ルートといえば、下山時の大砂走りも有名です。

登りは長い。

でも下りには、ほかのルートとは違う楽しみが待っている。

かなり個性的なルートです。

こんな人に向いていそう

登山経験と十分な体力があり、混雑を避けて富士山そのもののスケールを味わいたい人。「最短で山頂」ではなく、長い行程そのものを楽しみたい人。

初めての富士登山で「空いていそうだから」という理由だけで選ぶルートではなさそうです。

青色の富士宮ルート|山頂までの距離は最短

「じゃあ、一番短いルートは?」

となると、静岡県側の富士宮ルートです。

富士宮口五合目は標高約2,400m。

4つの登山口で最も標高が高く、山頂までは約4.3km。

登りの目安は約5時間です。 富士登山

数字だけ見ると、

「ここが一番ラクなのでは?」

と思ってしまいそうですが、そう単純でもありません。

距離が短いということは、そのぶん標高を短い距離で上げていくということ。

しかも全体的に岩場が多いルートです。 富士登山

さらに4ルートで唯一、登山道と下山道が同じ。

登る人と下る人が同じ道を通ります。

一方で、天気が良ければ駿河湾や伊豆半島を見渡せるのも魅力。

三島や静岡側を旅したあとだと、「あちら側から富士山へ登るのか」と位置関係も分かってきます。

こんな人に向いていそう

長い距離を歩くより比較的コンパクトな行程を選びたい人、日本最高地点の剣ヶ峰も目指したい人、静岡県側からアクセスする人。

ただし「最短=初心者向け」と単純には考えない方がよさそうです。

比べてみると「どこから登るか」でこんなに違う

ルート色登山口標高登り登り目安特徴
吉田黄2,305m6.8km約6時間山小屋が多く最も人気
須走赤2,000m6.9km約7時間樹林帯から始まる
御殿場緑1,440m10.5km約9時間最長・火山砂利・大砂走り
富士宮青2,400m4.3km約5時間最短・岩場が多い

※時間は休憩を含まない目安です。 富士登山

こうして並べると、同じ山頂を目指しているとは思えないくらい違います。

最短の富士宮と最長の御殿場では、登りだけで6km以上の差があります。

富士登山は「富士山に登るかどうか」だけでなく、

「どの富士山を登るか」

を選ぶところから始まっているのかもしれません。

どのルートでも、富士山の装備はしっかり準備を

ルートによって距離や歩く時間は違いますが、どこを選んでも富士山は標高3,776mの高山です。

登山靴、上下セパレートタイプのレインウェア、防寒着、ヘッドライトなど、基本的な登山装備はきちんと準備しておきたいところ。

特に富士山では、麓が暑くても山頂付近では気温が大きく下がります。

「一度しか使わないかもしれないから、全部買うのはちょっと……」

という場合は、登山用品のレンタルを利用する方法もあります。

「夜中に登って御来光」は、ちょっと待って

富士山というと、夜通し歩いて山頂で御来光を見るイメージもあります。

でも、十分な休息を取らずに夜間登山する、いわゆる「弾丸登山」は避けたいところ。

現在は登山者の安全確保やオーバーツーリズム対策のため、入山規制も実施されています。

2026年の場合、吉田ルートでは通行料4,000円、14時から翌3時までゲート閉鎖という規制がありました。静岡県側の3ルートでも入山手続きなどが必要でした。 富士登山

制度は今後変更される可能性があります。

この記事を翌年読んでくださる方は、古い料金や規制情報をそのまま使わず、必ずその年の公式情報を確認してください。

富士登山では、移動してそのまま夜通し登るのではなく、余裕をもった計画を。遠方から向かう場合は、登山口周辺や富士山麓で前泊する方法もあります。

登らなくても、ルートを知ると富士山の見え方が変わる

私はこれがおもしろいと思いました。

富士山は遠くから見ると、どこから見ても一つの大きな山。

でも調べてみると、

森から登る道があり、

ひたすら長い砂礫の道があり、

岩場を登る道があり、

それぞれ違う色の標識をたどって、最後は同じ山頂へ向かっています。

「今日は山梨側を見ている」

「こちらには御殿場ルートがある」

そんなことが分かるだけでも、次に富士山を眺めたときの見え方が少し変わりそうです。

そして、これから実際に登ろうと思っている人なら、距離の短さだけで選ばず、体力、登山経験、アクセス、山小屋、混雑などを含めて自分に合ったルートを選ぶこと。

富士山は日本で一番高い山。

「どの道なら登れそう?」を考えることも、富士登山の大切な準備のひとつです。

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